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ロシアにおける特許出願の分割

2014年07月08日

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■概要
ロシアには、特許の分割出願制度がある。分割出願の優先日は、原則として、原出願の優先日に遡及する(民法第1381条第4項)。
■詳細及び留意点

【詳細】

(1) 分割出願の時期的要件

 分割出願をするためには、次の条件を満たしている必要がある(民法第1381条第4項)。

 

  • 原出願が取り下げられていないこと(取下擬制されていないことを含む)
  • 原出願に係る特許が付与されていないこと
  • 原出願について、拒絶査定に対する応答期限が経過していないこと

 

 また、上記の条件を満たしていたとしても、以下に示すとおり、原出願の状況によっては、出願人の対応次第で分割出願の機会が消滅するので、注意が必要である。

 

(i) オフィスアクションが発行された場合の注意点

 クレームに記載された発明が特許要件を具備しない場合、オフィスアクションが発行される(民法第1386条第1項)。オフィスアクションに対する応答期限までに出願人が応答しなかった場合、特許出願は取下擬制される。したがって、分割出願は、オフィスアクションに対する応答期限までに行う必要がある。なお、オフィスアクションに対する応答期限は、オフィスアクションの受領日から2ヶ月であり、最大10ヶ月の延長が認められる(民法第1386条第5項)。

 

(ii) 審査結果通知が発行された場合の注意点

 オフィスアクションに対する応答を考慮しても拒絶理由が解消しない場合、拒絶査定が行われる前に審査結果通知が発行される(民法第1387条第1項)。審査結果通知に対する応答期限までに出願人が応答しなかった場合、特許出願は取下擬制される。審査結果通知に対する応答期限は、審査結果通知の受領日から6ヶ月である。したがって、分割出願は、審査結果通知の受領日から6ヶ月以内に行う必要がある。

 

(iii) 特許査定が行われた場合の注意点

 クレームに記載された発明が特許要件を具備する場合、特許査定が行われ、特許査定書が送付される(民法第1381条第1項)。

 登録料納付期限までに出願人が登録料を納付しなかった場合、特許出願が取下擬制される(民法第1393条第2項)。登録料納付期限は、特許査定書の受領日から6ヶ月である。したがって、分割出願は、特許査定書の受領日から6ヶ月以内に行う必要がある。

 

(iv) 拒絶査定が行われた場合の注意点

 審査結果通知に対する応答を考慮しても拒絶理由が解消しない場合、拒絶査定が行われ、拒絶査定書が送付される(民法第1387条第1項)。拒絶査定に対する応答期限は、拒絶査定書の受領日から6ヶ月である。したがって、分割出願は、拒絶査定書の受領日から6ヶ月以内に行う必要がある。

 

(v) 拒絶査定不服審判を請求した場合の注意点

 出願人が拒絶査定不服審判を請求した場合、審判官の合議体により口頭審理が開かれる。口頭審理が終了した後は、分割出願を行うことはできない。したがって、分割出願は、口頭審理が終了するまでに行う必要がある。

 

(2) 分割出願の効果

 分割出願の優先日は、原出願の優先日となる(民法第1381条第4項)。原出願が国内優先出願(先のロシア特許出願に基づく国内優先権の主張を伴う出願)である場合、分割出願の優先日は、優先権の基礎となるロシア特許出願(基礎出願)の優先日となる。原出願がパリ条約に基づく優先権の主張を伴う出願である場合、分割出願の優先日は、パリ条約上の優先日(第一国出願の出願日)となる。

 分割出願が原出願に開示されていない事項を含む場合、当該分割出願の優先日は、原出願の優先日ではなく、現実の出願日となる。分割出願の優先日は、クレーム毎に判断される。したがって、原出願に開示されていない事項を含む分割出願の優先日は、クレーム毎に異なる場合がある。

 

(3) 分割出願の手続

 分割出願は、通常の特許出願と同様の出願書類(願書、明細書、クレーム、図面及び要約書)をロシア特許庁に提出することにより行う。なお、上申書を提出して、原出願と分割出願の相違点を説明する必要はない。

 

【留意事項】

  • オフィスアクションや審査結果通知に対する応答期限までに応答しなかった場合、拒絶査定が行われるのではなく、特許出願が取下擬制され、分割出願の機会が消滅するので注意を要する。
  • 登録料納付後は、特許が付与される時期をコントロールすることはできない。したがって、特許査定を受けた後の分割出願は、登録料納付前に行う必要がある。
  • 分割出願制度は、特許出願が発明の単一性の要件(民法1375条1項)を具備しない場合、それを回避する手段として設けられた制度である。但し、実務上は、原出願が単一性の要件を具備しない場合でも、分割出願を行うことができる。
■ソース
・ロシア民法典第4部
・模倣対策マニュアル ロシア編(2012年3月、日本貿易振興機構)35頁、41頁、42頁
http://www.globalipdb.jpo.go.jp/jpowp/wp-content/uploads/2013/09/b91f7f3b65c81f32e4c8610ed549ee17.pdf ・黒瀬雅志編著、伊藤武泰・谷口登・木本大介著『ロシア 知的財産制度と実務』(一般財団法人経済産業調査会、2013年)
■本文書の作成者
グローバル・アイピー特許業務法人 弁理士 木本大介
■協力
ARS Patent ロシア特許弁理士・ユーラシア特許弁理士 Mr. Evgeny Ilmer
一般財団法人比較法研究センター 不藤真麻
■本文書の作成時期
2014.01.20
■関連キーワード
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